コラム

 公開日: 2013-03-31  最終更新日: 2013-06-02

就業規則のツボ⑤

こんにちは。

就業規則のツボ。今日は「懲戒処分」についてです。

【規定例】
(懲戒の種類、程度)
第○条 会社は、社員が本規則に定める懲戒事由のいずれかに該当した場合には、その事由及び情状に応じ、次の区分により懲戒処分を行う。
(1)訓戒:始末書を提出させ、将来を戒める
(2)減給:始末書を提出させ、減給する。ただし、減給は、1回の事案に対する額が平均賃金の1日分の半額、総額が一給与支払期における給与総額の10分の1の範囲で行うものとする。
(3)出勤停止:始末書を提出させ、7労働日以内の期間を定めて出勤を停止する。なお、出勤停止の期間は無給とする。
(4)懲戒解雇:予告期間を設けることなく即時解雇する。この場合において所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、解雇予告手当は支給しない。なお、懲戒解雇に処する者に対しては、退職金の全部又は一部を支給しない。
2 懲戒に該当する行為があった社員に対して、事実調査のため必要がある場合には、その処分が決定されるまでの間、自宅待機を命じることがある。

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おそらく、ほとんどの会社の就業規則においても、上記の規定と同じような定めがあると思います。

この規定で、難しい問題は、文章をどう定めるか?ではなく、
むしろ、実際に問題行動をとった社員が発生した場合に、この規定をどう運用するか?です。

次の話は、実際に、ある会社の社長から聞いた話です。
社長:「この前、社員1人クビにしたよ。」
私:「えっ?何でですか?」
社長:「だって、あの社員、仕事ができなかったしさ。こっちが注意しても全然言うことを聞かないんだもん。社長の注意や命令を聞かない社員なんだからクビにして当然だろ?」

社長! それは危険です。

解雇は、懲戒処分の中でも一番重いものです。社会通念に照らし合わせても、よほどの事でない限り、解雇は認められません。程度にもよりますが、一般的には、「注意しても社員が全然言うことを聞かない。」くらいでは、解雇は認められません。万一、解雇をめぐり争い事になった場合は、会社は極めて不利な立場に追いやられます。

懲戒処分とは、なにも解雇することだけではありません。
その前に、訓戒、減給、出勤停止という処分があり、それらの処分が就業規則で定められていることを忘れてはいけません。

社員が言うことを聞かないなら、まず「訓戒」。厳重注意をして、それも口頭注意じゃなくて、きちんと注意を書いた文書を社員に渡す。そして、始末書の提出を求める。そういう処分から行っていくべきでしょう。

懲戒処分をするにしても、いきなりクビにするから、社員も心の準備ができていなくて、感情的になり、「会社を訴えてやる!」みたいな考え方になる人まで出てくるのです。
そうではなく、時間はかかるかもしれないけれど、軽い懲戒をきちんと重ねていくことが大事です。

もちろん、解雇することが目的ではありませんので、何回か注意して、社員が態度を改めてくれたなら、それはそれで良い事です。

仮に、最悪、解雇をせざるを得ない場合でも、言い方が適切ではないかもしれませんが、軽い懲戒を何回も積み重ねることで、社員にもある程度解雇に対する心の準備ができているので、逆上して、「会社を訴えてやる!」みたいな態度に出る人も少なくなります。
それに、万一、争い事になったとしても、軽い懲戒を積み重ねた事実は、会社にとって解雇の正当性を高める材料にもなります。

社長は、感情的になって、社員を解雇することがないように。
むしろ、冷静になって、時間はかかりますが、軽い懲戒をきちんと使っていくことが大事になります。

この手の問題は、なかなか判断が難しく、またデリケートな問題なので、もし、社長の頭の中に「解雇」が思い浮かぶような事態が発生したら、行動する前に、まずは一度社会保険労務士に相談してみることをおすすめします。

トラブル防止のために、是非一度就業規則の内容、そして、その運用方法のご確認を!

※なお、上記の規定例は、あくまでも例ですから、会社の実情に応じて修正が必要です。

この記事を書いたプロ

久志田社会保険労務士事務所 [ホームページ]

社会保険労務士 久志田諭

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