コラム

 公開日: 2014-06-16  最終更新日: 2017-09-21

歩合給の社員の社会保険料

こんにちは。

こんにちは。

お客様から、次のような質問が寄せられています。

【質問】
当社では、営業職の社員の給与を、基本給(固定給)+歩合給としています。

基本給は 1 か月あたり約 20 万円、歩合給は営業成績に応じて 1 か月あたり 0 円~ 50 万円を支給しており、営業成績が振るわないときは基本給の 20 万円だけ、その代わり営業成績が良かったときは基本給+歩合給で 70 万円ぐらいの給与がもらえる仕組みです。

当社の給与は、月末締め、翌月 20 日払いなので、翌月の歩合給に営業成績が反映されます。
そして、当社は、毎年、年度替わりである 3 月、4 月が比較的忙しい時期で、社員も 3 月、4 月の営業成績が良くなる、つまり 4 月、5 月の歩合給が高くなる傾向があります。その代わり、夏から秋にかけて、そして冬は、それほど忙しくなく、営業成績が低空飛行の社員も何人かいる状態です。
だから、4 月、5 月の給与は 60 ~ 70 万円だが、他の月は 20 ~ 30 万円という社員もたくさんいます。

実は、そのことで当社が一番困っているのが社会保険料です。

社会保険料は、4、5、6 月の給与支給額を基準に 1 年分の保険料が決まってしまうため、当社は、給与が高い 4、5 月頃の給与を基準に決められた社会保険料を、その後の給与が高くない月にも負担し続けなければなりません。

具体的に言うと、4、5 月頃の高い給与である 60 ~ 70 万円を基準にすると、社会保険料の負担は、健康保険料と厚生年金保険料を合わせて、社員負担分だけで 9 万円ぐらいになります。雇用保険料、所得税、住民税などを加えると、社員の 1 か月の給与から控除される金額は 10 万円以上になります。

当社の夏~秋~冬の給与は 20 ~ 30 万円ですから、10 万円以上が控除されると手取りが 10 万円を下回ってしまう社員も出てきます。「社会保険料が高すぎて生活できない」と言っている社員もいます。

社会保険料は、当社も会社負担分として半分を負担しているわけですが、社員の給与が 20 ~ 30 万円なのに、60 ~ 70 万円に相当する社会保険料を負担しなければならないのは、当社にとっても納得がいかないことです。

当社も社員も、社会保険料の多額の負担に、本当に困っています。

以前、年金事務所に、このことで相談に行ったことがあります。
しかし、「そういう制度なので、どうしようもありません。」と回答をされて、何の問題の解決にもなりませんでした。

年金事務所で、「社会保険料は、原則として 1 年間変わらないが、固定給に大幅な変動があったときは、例外的に年の途中でも見直しができる。しかし、当社のように、歩合給の変動により給与が大幅に変動しても、途中で見直しはできない。」とも言われました。

当社と社員は、実態とかけ離れた多額の社会保険料をこのまま負担していくしかないのでしょうか?

社会保険料の負担を減らすための何か良い策がありましたら、アドバイスをお願いします。


【回答】
貴社の給与体系をお聞きしますと、あえて社会保険料の負担が多くなるような給与体系を選んでいるように思えます。

社会保険料を軽減するには、給与を平準化し、4 月、5 月だけ給与が高い現在の状態を改めることが最善です。

また、給与には成果報酬的な意味だけでなく、生活保障的な意味もあるので、
特定の月だけ給与が高く、他の月は「社会保険料が高すぎて生活ができない」ような状態は好ましくありません。
社会保険料云々以前に、給与のアップダウンが激しく、低いときは生活に困窮するような現在の状態では、社員の定着率も低くなり、人材が育たない等、別の問題が生じる可能性があります。

基本給 20 万円、歩合給 0 ~ 50 万円で、
総支給で 4 、5 月が 60 ~ 70 万円、他の月が 20 ~ 30 万円ですと、年収(ボーナス除く)で約 400 万円前後でしょうか?
年収で 400 万円前後という条件は変えないで、基本給の割合を増やし、歩合給の割合を減らす。
給与の極端なアップダウンを改め、平準化することで、社会保険料の負担も減り、社員の生活も安定してくるはずです。

しかし、貴社が、どうしても現状の給与体系を変えたくない・・・というなら、
社会保険料の負担を減らす方法として、次のような方法もあります。

「年間平均」の給与で社会保険料を決める方法です。

社会保険料の決め方は、4、5、6 月の給与に基づき決める方法が通常ですが、例外的に「年間平均」の給与で決める方法も認められています。

ただし、この「年間平均」の決め方が認められるのは、次の 3 つの条件をいずれも満たした場合に限られます。

①通常の方法で決めた社会保険料の等級と、年間平均で決めた社会保険料の等級との間に 2 等級以上の差があること
②この 2 等級の差が、業務の性質上毎年発生することが見込まれること
③社員が同意していること

ご質問の内容を聞いた限りでは、貴社はこの条件に当てはまりそうな感じなので、
給与体系を変えたくない・・・というなら、この方法もご一考ください。

最後に、注意点として、
いずれの方法を取ろうとも、社会保険料の負担が減るということは、将来の年金額など社会保険からの給付も減るというデメリットがあります。
会社の意向だけで一方的に進めることのないように、きちんと社員にデメリットも説明し、同意を得るようにしてください。

社会保険等の相談がありましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
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